2012年12月13日

今回は、指紋認証(他の生体認証も一緒ですが)の、認識精度についての、指標となる

FAR
FRR

というキーワードについて、書かせていただきます。

 そもそも、指紋認証(および生体認証)においては、生きている人間の情報を利用するという仕組みのため、指紋認証であれば、指の状態や、そもそもの指紋の状態によって、うまく認識できたり、できなかったり、という事が発生します。それらを数値化して指紋認証機器毎に、どの程度の認識が可能であるかという数値を表現するために、 ・FAR ・FRR という数値がよく使われます。

FAR

FARとは、「他人受入率」という数値であって、簡単に説明すると「他人と間違えてしまう確率」という数値です。例えば、
 FAR:0.01% という機器があったとすると、0.01%=1/1万となりますので、1万人に一人は指紋が似ているという状況が発生し、本人かどうかの特定を誤る可能性があることを表しています。

FRR

FRRとは、「本人拒否率」という数値であって、こちらは「本人なのに、本人と一致しない」という数値となります。

このような状況が発生するのは、指紋認証を初めとして多くの生体認証機器が、前回にご紹介した、マニューシャ方式という方式を利用しているため、取得できる特徴点の数や配置によって、実際の指紋の形状は違っても(というより本来人類ほぼ皆違う指紋を持っています)、特徴点の並びが似ているとか、怪我などによってもともとあった特徴点が読み出せないとか、さまざまな要因によって、誤って判断を行ってしまうためです。

 さて上記FARとFRRですが、セキュリティ的な観点でみれば、FAR(他人受入率)が低い方がいいわけであって、そのためには、できるだけ多くの特徴点を採取しておけば、限りなく本人と他人を間違える可能性が低くなってきます。  しかし、FARを低くしようとして、多くの特徴点を採用しまうと、今度は、指の状態の変化(体調、怪我、水仕事・・・など)によって、採取てきる特徴点の状態の変化についていけなくなり、FRRが高くなってしまいます。

 つまり、FARとFRRはトレードオフの関係にあって、どちらが高い方がいいとか、低い方がいいという物ではありません。バランスよく、調整されている機器が重要となります。

 ではFAR、FRRはどのように算出されているかというと、大半の機器が実際の指紋の画像などを大量に用意し、そのデータをサンプルとして実際の機器で判別をかけ、FAR、FRRの数値を算出しています。もう少し言うならば、サンプルを利用して、FARとFRRを最も良い状態へと持って行っているという表現が正しいかもしれません。

 このような事より、指紋認証や生体認証機器は、仕組みそのものは画像から特徴点を抽出して比較するという単純な画像処理&比較処理のみで実装できますが、実際にはより多くのサンプルで検査をする必要があるため、長年蓄えたデータなどを持った企業でしか、きちんとしたセンサーを出荷できないという事情があります。それもあってか、実際に販売している機器メーカーさんは、数がすくないですよね。

 機器によって、FAR側を重視して、少々認識しずらいもの、FRR側を重視して、気軽に利用できるものなどさまざまな機器がでております。営業トークではどちらか良い方をアピールされる傾向にありますが、FARとFRRはトレードオフであると言うことをお忘れ無く。